手裏剣とプラネテス
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いつもとそれほど変わらぬのどかな研究室の12時ちょっと前、
作業の進行状況とは無関係にそろそろお昼休みの時間である。
N「困ったなぁ。もう手裏剣が無いよ。」
”手裏剣”というのは日本人なら誰もが知ってる忍者の一般的な武器である。
ここでいう手裏剣とは、はずれた宝くじをその腹いせに折ったものだ。
私の独り言を聞いてJが話しかけてきた。
J「だったら新しく作れば良いじゃないですか。」
ここだけ聞くとすごく良さそうなセリフに聞こえるが、作るのは手裏剣である。
N「それは面白いですね。」
J「…面白いですか?」
N「面白いですよ。僕が手裏剣を何に使うか知ってますよね。」
J「プラネテスを録画するためでしょう。」
N「その通りです。」
ちょっと前にプラネテスを撮り逃すという致命的なミスを冒してしまったため、
同じ過ちを二度繰りかえさないように放送日は手裏剣を胸ポケットに入れて
帰るようにしているのだった。
N「こうしておけば財布を取りだすときに必ず見るので、
手裏剣→忍者→プラネテス→そうだプラネテス撮らなきゃ、となるわけですよ。」
J「この図式の途中にある忍者は必要ないんじゃないですか。」
N「いや、プラネテスには忍者が出てくるのでそれは問題ないです。
でも、別に”手裏剣”である必要はないですよね。」
J「そうですね。」
N「にも関わらず手裏剣を作ることを提案したのが面白かったわけです。」
J「なるほど。」
N「例えばここにヨットがありますが、ヨットでも良いわけです。
ヨット→忍者→プラネテス→そうだプラネテス撮らなきゃ、となると。」
J「ヨットと忍者は関係ないです。」