天国への階段(前編)
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いつもとそれほど変わらぬのどかな研究室の午後のこと…
J「ゲータレードを買ったらこれがついてきたんですけど、何だかわかりますか。」
そう言ってJが見せたのは手のひらサイズのスイッチのような物体であった。
N「何ですか、自爆ボタンですか。」
とりあえず押してみた。
カチャン。
良く見ると上の方に数字が見える。カウンターのようだ。
続けて押してみる。
カチャン、カチャン、カチャン。
20を超えたところでカウンターの数字が0に戻った。
N「少なっ!」
J「おまけで付いてきたオモチャですからね。仕方ないですよ。」
カチャン、カチャン、カチャン。
持っているとついつい押してしまう。
N「じゃあ、これを使ってゲームをしましょう。」
J「どんなゲームですか。」
N「スイッチを順番に押して20になった方が負けです。
押す回数は1、2、3のどれかしかダメ。」
J「最初に3回押すのが必勝法ですか。」
N「そうですね。19を取れば勝ちなので、
先に3を取れば残りが4の倍数なのでそれで勝てます。
それじゃあ、始めましょうか。」
J「いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
それ先手を取るか後手をとるかのじゃんけん勝負でしょう。」
N「それもそうですね。じゃあこういうのはどうですか。
前の人が押した回数は押せない。」
J「そうなると簡単にはわかりませんね。」
N「そうですね。僕もわからないです。」
J「必勝法なんてないんじゃないですか。」
N「それ良いですね。」
こうして僕らの熱き戦いが始まった。
後編に続く。