天国への階段(前編)


***

いつもとそれほど変わらぬのどかな研究室の午後のこと…

J「ゲータレードを買ったらこれがついてきたんですけど、何だかわかりますか。」

そう言ってJが見せたのは手のひらサイズのスイッチのような物体であった。

N「何ですか、自爆ボタンですか。」

とりあえず押してみた。

カチャン。

良く見ると上の方に数字が見える。カウンターのようだ。
続けて押してみる。

カチャン、カチャン、カチャン。

20を超えたところでカウンターの数字が0に戻った。

N「少なっ!」

J「おまけで付いてきたオモチャですからね。仕方ないですよ。」

カチャン、カチャン、カチャン。

持っているとついつい押してしまう。

N「じゃあ、これを使ってゲームをしましょう。」

J「どんなゲームですか。」

N「スイッチを順番に押して20になった方が負けです。
    押す回数は1、2、3のどれかしかダメ。」

J「最初に3回押すのが必勝法ですか。」

N「そうですね。19を取れば勝ちなので、
    先に3を取れば残りが4の倍数なのでそれで勝てます。

    それじゃあ、始めましょうか。」

J「いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
    それ先手を取るか後手をとるかのじゃんけん勝負でしょう。」

N「それもそうですね。じゃあこういうのはどうですか。
    前の人が押した回数は押せない。」

J「そうなると簡単にはわかりませんね。」

N「そうですね。僕もわからないです。」

J「必勝法なんてないんじゃないですか。」

N「それ良いですね。」

こうして僕らの熱き戦いが始まった。

後編に続く。

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 制作 稲葉 直貴